2月20日、CREATIVE SPORTS LAB(CSL)にて、公園プロダクト開発会議「CSLから公園を変える!」を開催しました。CSLのコワーキングスペースを利用する会員、地元で活躍するクリエイターや、様々な分野で活躍する横浜市民の方々を中心に約40人が集結。横浜DeNAベイスターズの商品開発担当も交え、市民と球団のコラボによる商品開発への一歩を踏み出しました。
今回の公園プロダクト開発会議は、横浜の公園について考えるシリーズイベント「YOKOHAMA PARK LIFE」の第三弾。まちにある公園の価値や、公園を楽しむためのコンテンツなどについて学んだ過去2回のトークイベントを踏まえて企画しました。公益財団法人横浜市芸術文化振興財団でアーツコミッション・ヨコハマ事業などを手がける杉崎栄介さんと、遊休公共空間の活用を進めるメディア「公共R不動産」でコーディネーターを務める飯石藍さんをゲストに、アイデアや提案を出し合いました。
前半は、5人の地元クリエイターらが商品開発担当に向け、具体的なプロダクトのプレゼンテーションを行いました。
スタジアム美化につながるデポジット制飲食容器
CSLコミュニティ会員のふちばちひろさん(イラストレーター)が提案したのは、デポジット制度をつけた飲食品容器。弁当箱のような外側の容器は繰り返しの利用も想定し、返還すると保証金が返ってくるデポジット制度をつけます。物理的な強度と機能性を確保する一方、規格を揃えて、内側に使い捨てのトレイを購入ごとに着脱することで、衛生確保とゴミ削減も実現する提案です。
「試合後のハマスタはゴミが多い」「キレイなハマスタに行きたい」というファン目線からのアイデアは、公園の屋台や日常生活でも活用できるもの。ゲストの杉崎さんから「社会がSDGs(持続可能な開発目標)に向かう中で、ソーシャル的に良いことはブランドにもなり得る」とコメントがあり、ベイスターズの職員も「環境とは一見遠いところにあるプロ野球も、経済活動を回しながらもゴミを出さないのというのは重要」と再確認していました。
汎用性の高い一枚布「カンガ」
同じくCSLコミュニティ会員の福井高志さん(株式会社Rox)は、アフリカなどで衣類や風呂敷として活用される大きめの一枚布「カンガ」の横浜バージョンを提案。個人スペースが広くないスタジアムでは、折り畳めるカバン代わりのものが重宝すると考えました。選手名が書かれたタオルのように応援グッズとしてだけでなく、カバンやストール、壁掛け、レジャーシートなどとして、スタジアムや公園、自宅でも活用できる汎用性の高さがポイントです。
アフリカでカンガを入手したことがあるゲストの飯石さんも「アフリカの人はメッセージ性のあるカンガを買う。ファンが“ベイスターズ魂”を背負って球場に向かう姿を想像すると面白い」と共感し、「使い方のレシピみたいなものと一緒に売られていると面白い」とアイデアを発展させました。
神奈川の各地と関係をつくるプロダクトを
森川正信さん(mass×mass関内フューチャーセンター)からは、「神奈川のいろんなエリアと関係性をつくりませんか?」とプロダクト開発の方向性に関する提言がありました。具体的な事例として、木材ニーズが減る中で小田原地区木材業共同組合が箱根駅伝向けにつくった、屋外イベントの管理用木柵「Ki-Saku」を紹介。「小田原や山北町の木材や人材を活かして横浜の公園の遊具をつくれば、交流が促進されるのではないか」と語りました。
ゲストの飯石さんは「関係性のデザイン」をキーワードに、お金を払って自分の名前を書き込むことができるアメリカの"ドネーションベンチ”を「ファンの半端ない熱量」を活かす事例として紹介。球団職員も「プロ野球と公共や市民に接点を持たせる発想が面白い」と受け止めました。
野球にまつわる形や動きを日用品に落とし込む
井上仁行さん(PANTOGRAPH)は、野球をモチーフにしたプロダクトの数々を提案しました。たとえば横浜スタジアムも、特徴の一つである円形の形状に着目すれば、ビニールプールやカーペット、カレー皿などのデザインに活かせます。ブルペンや照明灯などからユニークに発想したアイデアの数々に、独特のイラストと話術も相まって、会場は大爆笑に包まれました。
井上さんに一貫していたのは、「野球にまつわるモノの形や用途などを見て、日用品の何かに置き換える」こと。ベイスターズの担当者が商品としての可能性はもちろんのこと、「ギミックが散りばめられている」「形だけじゃなくて、動きや使い方をプロダクトに落とし込むのも面白い」と発想を高く評価したように、全参加者にとっても学びの大きなプレゼンテーションとなりました。
そこにしかない材料が、ハマスタにはたくさん
加藤渓一さん(HandiHouse project)も、「そこにあるものから、そこにしかないものを生み出す」という考え方を発信しました。「即興性」のある体験事例として、湖畔で廃材になっていたボートをカットしてつくったベンチなどを紹介。「ハマスタには、そこにしかない材料がいっぱい落ちている。スタジアムの外の公園にも、野球がはみ出たらいいな」と、ベースを材料にした椅子などのアイデアを出しました。
コンセプトを明確にしたプレゼンテーションを、飯石さんは「素敵。みんなが乗っかりやすい」と評価。球団職員は「駅から近くて公園の中にあるスタジアム、はここにしかない特徴。クリエイターが見たら、どんなことを気づくのか」と新たな興味を得ていました。
5人クリエイターの提案は、具体的なプロダクトのアイデアから、背景にある考え方にまで及びました。会場全体の学びになるとともに、商品化への熱量も高まり、イベント前半のプレゼンテーションは幕引きとなりました。
スタジアム・公園・日常がつながるアイデアを考える
イベント後半は、参加者全員が5〜6人のグループに分かれ、公園やスタジアムでも家の日常でも使える便利グッズ等、スタジアムとまちの境界線を超えるプロダクトの、アイデアとシチュエーションを考えるワークショップを行いました。
グループでの議論は、ワークシートを使って進めます。自己紹介に続いてまず考えたのは、「どこで、何をしたいか?」。「夜の公園で」「野球がない日のスタジアムで」「スタンドで」「球場の周りで」「ほのぼのしたい」「ウェーイと騒ぎたい」「寝転びたい」など、希望や欲求が次々と付箋に書かれます。
その希望を踏まえて考えたのが、「そのためには何が必要か?」。アイデアをひねり出しながら、絞り込み、最終的なデザインに落とし込んでいきます。具体的なプロダクトになるものもあれば、イベントでの実現を思いつくグループもありました。
希望や願い、アイデアが形になっていく価値
最終的に出たアイデアは、「横浜公園の池で、お茶と釣りをしたい」「試合がないときのシーンとしたスタジアムも楽しみたい」「横浜公園でボードゲーム。リアル野球板のミニチュアで、スマホをかざすとARで筒香選手がいたりしたら面白い」「ユニホーム型の光る凧で、冬の夜を楽しみたい」「ベイスターズ音頭をつくって、地域と交流する夏祭りで踊りたい。浴衣やハッピも売れるんじゃないか」「自分が何をやっているかを色で示せるレジャーシートがあっても良さそう。公園にはいろいろなことをやりたい人がいて、似たような趣向がある人たちがつながるきっかけを作れれば面白い」など。横浜を行き来し、横浜や野球が好きだからこそ生まれたような、素敵なものばかりでした。
ゲストや球団職員からのコメントでは、特にベイスターズ音頭が「和のものはあまりなかった。インターネット動画で広められるのではないか」「体験から商品を生み出す発想も良さそう。絶対やったら良い」と好評。そのほかにも、「ボードゲームも人を巻き込むきっかけになる」「熱狂以外の、スタジアムの日常に思いを馳せるのも大切なこと」「カラーリングで趣味の意思表示ができれば、公園やスタジアムを友達ができる空間にしていける」と、さまざまなイメージが膨らみました。
このように、横浜で生活や仕事をする方から野球ファン、クリエイター、球団の関係者まで、さまざまな立場の人の願いやアイデアが集まることこそが、「次のスポーツ産業を生み出す共創基地」として運営しているCSLの価値のひとつなのかもしれません。球団職員が最後に「アイデアをお金を払ってもらえる価値のあるものにするのが、醍醐味であり、自分たちの仕事」と話したように、今後は販売へ向けた開発フェーズが待っています。商品を通じて色んな人が笑顔になる喜びを、CSLに集まった方々と分かち合えるよう進めていくプロジェクトに、今後もご注目ください。
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