昨年始まったCREATIVE SPORTS LABのイベントシリーズ「Next Ballpark Meeting」では、一般応募の参加者の方とともに“試合開催日かどうかにかかわらず、スタジアム内外をもっと楽しむため”に自由なアイデアを広げるワークショップを行なってきました。
その新たな取り組みとして「横浜のまちを楽しむ新しい観光プログラムを生み出す」ことをテーマとした#TOURISM シリーズが始動しました。
横浜スタジアムツアーやTHE BAYSといった横浜DeNAベイスターズがすでに持っているコンテンツと、横浜の街に広がる資源を組み合わせて観光コンテンツとするための、この取り組み。今後複数回に渡りオンラインでのトークイベントとワークショップを行ない、横浜のまちを楽しむツアープログラムを実証実験として実施することを目指します。
第1回目となる今回は「横浜発!スポーツがあるまちを楽しむ都市型観光アイデア会議」として株式会社KADOKAWA・元横浜ウォーカー編集長の山本篤史さん、旧横浜市庁舎街区活用事業に参画する星野リゾートからプロジェクトマネージャーのデラワリ アミンさんをゲストにお招きしました。
横浜生まれ横浜育ちで、1998年の横浜ウォーカー立ち上げのために株式会社KADOKAWAに入社したという横浜愛あふれる山本篤史さん。2020年6月に紙媒体が休刊になったあとも、SNSに場所を移して活動している横浜ウォーカーの中心人物です。ちなみに、全国にさまざまな◯◯ウォーカーがある中で、都市名を冠したものは横浜と神戸のみなのだとか(その他は東京・関西・九州など地域名)。
開港をきっかけとした横浜の歴史は160年前に始まりました。雑誌を作っている中で強く感じたという「横浜人のジモト愛の強さ」は、新しいものを貪欲に取り込み、自分たちで作り上げたという自負から来ているという分析でした。
また、逆方向の視点として、「住みたい街ランキング2019(関東版)」第1位となるほど好感度の高い横浜の対外イメージについて、かつて宿場町だった保土ヶ谷区や港北ニュータウンのある都筑区といった横浜の魅力の多様性はあまり知られていないという考察も。市外の人達の思い浮かべる「横浜=セントラル・ヨコハマ(中区・西区)」のイメージはかなり強いというところから、首都圏という巨大マーケットの中でのブランド価値を見計らういくつかの問いかけを行ないました。
例えば観光地としてのシンガポールに対立軸を置いてみるという想像や、コンパクトかつ面白いまちづくりを行なっている自治体が急増していることに対抗する価値提示など、「横浜ならではの魅力」をどう考えていくべきか。
山本さんは、横浜は完成した街ではなく、これからも作り続ける・変化し続けていく街だと感じているそうです。それらがどんな方向、どんな文化の発展をともなって魅力となっていけるかは、もっと突き詰めて考えられていくべき事柄です。そして、それを横浜の人達自身が誇りに思えることの重要性を話して頂きました。
これまで約5年間星野リゾートで新施設の開発に携わってきたデラワリ アミンさんは、現在横浜旧市庁舎街区の開発事業者担当として尽力されています。この事業では旧市庁舎の建物をホテルにするリノベーションの他に、オフィスや商業施設、ライブビューイングアリーナ等の複合施設として計画が進んでいます。本事業についてはホテルブランド・名称もまだ検討中の段階ですが、今回は、星野リゾートの都市観光ホテル「OMO」を参考事例としてお話しいただきました。
OMOブランドは「おもしろい」「おもいでぶかい」「おもいもよらない」という気持ちを込めた3つの「おもてなし」軸からネーミングされたのだそうです。都市部の味気ないビジネスホテルとは一味違った部屋のしつらえや充実した共用部が特徴とのことで、さらにそこは宿泊者だけでなく地域の方も訪れる場になっているとのこと。地域のクリエイターや実演販売をしてくれるご近所さんを招いてイベントを行なうことで、その街の魅力をホテル内で紹介しています。
地域のおもしろさ紹介はホテル内だけにとどまらず、社員のみなさんが街のガイド役「OMOレンジャー」となり近隣施設や街をガイドするというプログラムもあります。「友人がこの場所に泊まりに来たらどこに案内する?」という目線で案内を行なうそうで、旭川では活動をしているうちに旭山動物園とのつながりも生まれ、飼育員さんをゲストに迎えるイベントなどを開催し、地域ぐるみでのおもてなしのネットワークが広がっているそうです。
横浜DeNAベイスターズ広報・河村:山本さんのお話やチャット欄の質問から「横浜はどこまでが横浜?」という意識を改めて持ちました。スタジアムなど身近な場所に視線が行きがちですが、より広い視野を持てたらと思います。また、「OMOレンジャー」のお話も大変参考になるもので、現場のスタッフの方が持っている地域の情報はガイドブックに載っていないものもありそうですね。
今春に完成した横浜スタジアムの改修によってできた、日本大通りを見通せる新しいビュースポットになりそうな場所のことを思い出して、今自分たちの持っている情報やリソースも活用できるのだという気づきがありました。
デラワリ:相模原出身の自分からすると、横浜は憧れの地です。港町横浜としてのブランド、地元の人が自慢したくなる感じ。その特色はシェアしていくべきだと思います。旅に出かけた時、友達に案内してもらう楽しさと、反対に、友達を案内するなら?という視点で横浜を見たいと思っています。
山本:これまでの取材経験からも、OMOレンジャーのプレゼンテーションはすごい熱量だと思っていました。いかに自分たちが新しい発見ができているかを、スタッフの方が熱く伝えるスタイルが印象的でした。
いま横浜ウォーカーはSNSを中心に活動していますが、そのなかで地元の人が熱くなるトピックが2つあります。ひとつはベイスターズ、もうひとつは崎陽軒のシウマイ。ジモト民共通の話題であり、誇りを持っている話題に熱くなる、という現象です。
司会・西田:今回参加者の皆さんには事前のアンケートを行ないました。その中には、「球場や山下公園、赤レンガ倉庫などを使った都市型のキャンプイベントがしたいです」というアイデアがありましたね。
デラワリ:吉田町の路上ビアガーデンやキャンプなど、横浜のまちの人達が行政や警察と協議して開催しているイベントがとても面白いと思っています。
山本:横浜の新しいものに貪欲な姿勢が現れているイベントですよね。
河村:横浜スタジアムでのキャンプイベントは開催したことがあります。流石にキャンプファイヤーはできませんでしたが・・・。球団のコンテンツ+何をくっつけると面白いか、ファンに喜んでもらえるか、を考えて実施してみたのですがあっという間にチケットが売れてしまいました。自分も一晩参加してみたのですが、朝5時にカラスの声で起きるという都市ならでは(?)の体験でした。
山本:アンケートで見かけたものでは「横浜発祥のグルメウォーク」というアイデアも気になりました。食の魅力はぜひ取り込んでほしいですね。横浜=中華街はわかりやすいですが、横浜のインバウンド客の一定数はかならずラーメン博物館に行くんです。私達のイメージにない部分も注目されていると感じます。
河村:食はいま一番力を入れたいところです。球団には飲食部という飲食コンテンツ開発に特化した部署もあります。新しいファン層の開拓には必要なアプローチだと思っています。
司会・西田:その他にも「横浜を拠点にする他のプロスポーツチームとの連携」というアイデアや「街中をランニングしたりウォーキングしたりすることで発電」という街で健康になることが街自体の健康にもつながっていく、というユニークなアイデアも寄せられました。
河村:ヤスアキジャンプの時になにか発電できないものか、という冗談のようなアイデアを社内で話したことはあります。そこから、3万5千人が入場するスタジアムゲートで、重さを感知して発電する技術を使いナイター用の照明(LED)を付けられないかなども・・・結局は電力が足りないということで断念しましたが。
山本:人の魅力を観光コンテンツにできないか、と思いました。「この人に会いたい」「この人のサービスを受けたい」「この人の作る様子を見たい」を観光に結びつけることは良さそうですね。また、地元の人達だからこそ知るディープなビュースポットが紹介できれば、景色・風景という横浜の強みをより活かせそうだと思います。
デラワリ:横浜スタジアムでたまに開催されていた朝のキャッチボールは、日常的にあったらいいなと思います。朝や夜のアクティビティがあると、宿泊のお客様が楽しめる幅も広がりますし、日中は使われているスタジアムがオフになる時間をうまく使って連携できたら良いなと思います。
司会・西田:今回のオンラインイベントに参加いただいている70名の方にも「スタジアムツアーとあわせて楽しみたいスポーツがあるまち横浜の観光アイデア」を聞いていきたいと思います。チャット欄を使ってブレイン・ストーミングをしてみましょう。
◉試合を観戦するのではなく、試合の運営に参加できるツアーがあったら是非子どもを参加させたいな
河村:子供むけの職業体験は、単発イベントとしてやったことがあります。ボールボーイなどの体験をしてもらいました。観光や教育ということと繋げると、修学旅行や校外学習の場としてスタジアムには可能性があるのではと思っています。
山本:ほかにも、子どもたちが中華街のシェフにレシピを教わったり、ホテルのベッドメイキング体験など、学びという点で想像が広がりますね。
◉皆で飲食店を9箇所回った後、話し合って打線を組んだら面白い
山本:面白いですね、中華街だけでもできてしまいそうです。選手の好物のメニューで打線を組んでも。グルメはいろいろな視点で作りがいがありますよね。
◉ハマスタ駅伝をぜひ復活させてください
山本:コロナの状況でなかなか難しいところがあると思いますが、先日ベイスターズから発表された『YOKOHAMA STAR☆NIGHT』ではARを使ってバーチャルに楽しめることも考えられていますよね。今ならではの取り組みだと思います。まずはそこから始めてみるなど?
司会・西田:横浜スタジアムの改修によって横浜公園内にデッキ(歩道橋)ができましたね。安心してランニングが企画できる時期になったときには、走って楽しいコースになりそうです。
河村:横浜スタジアムが「野球を観るだけの場」から、ランニングの聖地になったり、新たな飲食スポット(まもなく全容発表)としても楽しめたり、「野球が開催されていない時にも楽しめる場」になることは大きな目標です。
◉野球起因も良いのですが、「野球と全く関係ないことをスタジアム内や外のスペースで実施する」ことで、その「関係ないこと」を目的に訪れた人に野球に興味を持ってもらうことも良いと思います
河村:確かにそうですね。正直に言えば、野球に関係のないことでも、ちゃんと事業化できるものであればチャレンジする価値があると思います。事業化のハードルをどう超えられるかが焦点で、朝・関内・試合がない時、などの条件が重なる「人がいない時」へのアプローチを模索したくてこのイベントシリーズを行なっています。具体化のために皆さんのご協力を頂きたいですし、ちゃんとその結果を皆さんにご報告したいですね。
時間いっぱい使ってもご紹介しきれないほどのアイデアを頂いた会となりました。
#TOURISM イベントシリーズでは今後も続編のオンラインイベントを予定しています。今回集まったアイデアからキーワードを抽出し、次回イベントではより具体的な「ツアーのある1日」を想像するトーク&ワークショップを開催予定です。実証実験として実際に新たなツアーを行なってみることを目標に進めて行きますので、今回ご参加いただいた方も、初めての方も、ぜひ#TOURISM 2にて議論を深めていきましょう!
オンライントークイベント
Next Ballpark Meeting #TOURISM 2
横浜DeNAベイスターズと考える「横浜スポーツタウンツアー」企画ワークショップ
2020年9月28 日(月) 19:00~
一般:1,100円(税込み) /人
CREATIVE SPORTS LAB会員:無料(優先枠有)
〒231-0021 神奈川県横浜市中区日本大通34
みなとみらい線「日本大通り駅」2番出口より徒歩4分
JR京浜東北・根岸線「関内駅」南口より徒歩7分
横浜市営地下鉄ブルーライン「関内駅」1番出口より徒歩7分